世間一般ではCA事件と呼ばれている、プライバシー規制に影響を与えたケンブリッジアナリティカ事件、その全容と影響を、すごくシンプルにまとめました。
事件概要
たとえば新聞記事はこちらです。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54306380Q0A110C2EA1000/
プラットフォーマー(facebook、現Meta)の外部に生活者データが流出・販売され、そのデータが米国大統領選やBrexitにおける投票操作に繋がったとみられている一連の騒動のこと。
当時、FacebookのAPI仕様は極めて緩く、許諾をもらったユーザーに加えそのユーザーの友人までデータを抽出できるようになっていました。
ここに目を付けたのが政治コンサル会社Cambridge Analyticaで、あるアプリでFacebookとのAPI接続を許諾させることで、計8,700万人・5,000種類ものユーザーデータを取得し、外国政府や企業に提供していたのです。
トランプ大統領がヒラリー・クリントン候補に勝利するよう煽動したり、イギリスがEU離脱する際の国民投票で賛成に回るよう煽動したり、広告出稿でトランプ派/離脱派に投票を促したりと、暗躍が半ば事実として噂されています。
CA事件の問題点
APIを通じた正規の手段でデータ提供されていたことが何よりの問題点とされています。
不正利用であればそれは・・まあ過失はあるのですが、ある種企業も被害者です。ですが、正規の手段ということは、企業側に完全に落ち度があるということにほかなりません。
また、提供データの第三者提供は規約で禁じられていましたが、有効性はありませんでした。
ある種当たり前ですが、倫理の外にいる人たちに規約分は無意味です。のちのち裁判になるころには意味を成しますが、データは使われてしまいます。
更に、ユーザーデータを用いて、広告やコンテンツで情報操作されたことも問題です。
フェイクニュースあるいは印象操作に近い情報を流し、寝返りやすい人を誘導したり、好ましい意見を持っている人を投票させたりと、やりたい放題に使われました。
CA事件の影響
Facebook/Meta社は、金銭的にも、時間的も、労力的にも、莫大なコストを支払う羽目となりました。
一例ですが、
経済的なダメージ
株価・企業価値の急落(だいたい14%、約8兆円分の下落)
FTCより制裁金 50億ドル(5400億円)
時間的なダメージ
ザッカーバーグ氏、米議会等の公聴会に出席
労力的なダメージ
APIの仕様変更
広告配信における第三者データとの突合を禁止
広告主の身元証明の義務化
ユーザーへの情報開示(政治広告の表記など)
等です。
連日のように公聴会に呼ばれていましたが、そんな毎日進捗もあるはずもなく、ザッカーバーグ氏とその関係者の心労は大変なものであったと推察されます。
また、広告を出す側の視点では、Facebook/Metaのデータ突合が突如厳しくなったことで、広告効果の可視化がしづらくなったようです。
現在はデータクリーンルーム:Meta Advanced Analytics/AAが解放されているため、その点が解消されたのは極めて良いことです!