広告効果の評価手法、アトリビューションとリフトの違いって?

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kamigom
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売上が、資料請求が、本購入が、それぞれ設定したCVに対して、広告を含む施策効果がどのように影響していたのかを把握し、CVを最大限高めるために予算配分や運用調整をどうしていくべきなのか示唆を得る。
PDCAで言うところのCheck、OODAで言うところのObserve。その質を高める方法はいくつもありますが、視点はたったの2つです。

この記事では、広告効果をどう評価していくべきなのか、その評価はどのように実現できるのかを解説します。

広告

広告効果を評価する2つの視点

CV貢献度の考え方

アッパーファネルからロワーファネルまで多数の施策を実施している場合や、ロワーファネルの施策を厚く重点的・複数メディアなどで実施している場合、1件/1ユーザーのCVに至るまでの広告接触は複数回にわたることがほとんどです。

広告接触パスのイメージ

また広告に絞らずとも、ターゲティングバナー広告接触⇒自然検索(商品名)⇒CVの場合、SEO施策の効果を無視してターゲティングバナーにのみCV効果があったとみなしていいのかどうか、判断が必要な部分です。

CVを起点に考えた時、広告接触にどう重みづけをして評価を行うのか、それが1つ目の視点です。

CV自体の考え方

CVに対する貢献度、という考え方に加えて、そもそもそのCVは広告によって発生したものなのか、はたまた何もしなくても発生するはずのものだっとのか、という考え方も必要です。

よく聞く話で言えば、検索連動型広告/リスティング広告の指名系KW(社名・商品名)はCV貢献度が高いと判断し予算を寄せ、確かにその結果広告CVは増えたものの、逆に自然検索CVが下がり総量としてのCVの伸びはイマイチだった・費用対効果として全体を考えると見合わない、といった嘆きがあります。

これはCV自体に対する考え方の問題で、そのCV1件を、純粋な増分としてみなすのかどうか、そこに判断が必要となってきます。

広告接触の評価・計測方法

広告接触の評価方法の中には大きく2つの考え方があります。
すなわち、ラストタッチのみを評価するのか、それ以前の接触も評価するのか、です。

notアトリビューション

ラストタッチ(多くの場合はラストタッチかつラストクリック)での評価の場合は極めて単純で、最後に接触した広告にのみCV効果があった、とみなします。
ですので必然的に、指名検索リスティングやリターゲティング広告などファネルの深いところに向けた施策のCV貢献が大きく出ます。
またこの方法、計測が極めてシンプルでもあります。例えばGoogle Analyticsで、目標地点=CVに対する流入経路を見ればそれで完結するためです。

アトリビューション

ラストタッチ以外、中間パスも評価する方法では、起点・減衰などさまざまなモデルが考えられますが、妥当性が高いのはフラット(線形)モデルとデータドリブンアトリビューションモデルです。

線形モデルは文字通り、すべての広告接触を同じ価値とみなす方法です。
このモデルは、直感的には間違っている気がする方が多いのですが(最初の接触のYoutubeと最後の接触のリターゲティングバナー広告の価値が同じ、Youtube 3回バナー1回接触ではYoutubeに0.75のポイントが入るなど)、逆に言えば各広告接触に重みづけをする基準がない状況でもあるため、忖度しないという意味で公平です。

とはいえそれでは納得できなくなるもの。
そこで、重みづけに根拠を持たせる評価方法がデータドリブンアトリビューションモデル、通称DDAないしアトリビューションです。

CVに至ったパスを比較し、どの接点がCVへの貢献度を押し上げていたのか/特に意味のない接触だったのか、割り振るための計算を行います。
計算=いわゆる機械学習は頑張ればエクセルでもできますが、BQ内ないしPythonやRで処理してしまうのがイージーです。

なおGoogle広告やAnalyticsのDDAモデルではCVを起点に4パスしか評価できません。
リターゲティング広告の露出が多い場合それだけで埋まってしまい、望む評価ができるかどうかは要注意です。

CV数の評価・計測方法

CV1件の価値は、本当に全体で見た時の1件なのだろうか。
それを加味するのが、CV数評価方法の検討です。

notリフト

通常、特にデータクリーンルームを使えない場合においては、CV1件は1件の増分として、ある意味何も考えずに処理されます。
広告CV1,000件とりました、全体CVは200件しか伸びてないです。という状況であっても、です。(その場合、広告CVの価値を1/5とみなすような代替的な方法をとることもあります)

リフト

とはいえそれではビジネス成長に向き合っているのかどうか疑問が残るところ。


そこで、広告接触に意味があったのかどうか、非接触者と比較する方法をとるのが特に先進広告主の潮流です。

古くは2018年、電通グループからTrueLiftモデルとして打ち出されました。
広告効果を、ビジネスコミットの視点で評価する画期的な方法です。

デジタル広告の効果をより正確に評価する「True Lift Model™」を提供開始

この方法では、非接触者のCV率算出がカギとなります。算出方法は2種類あります。

データクリーンルームは使わず、ダミー広告を配信する方法

同じターゲティンググループに対し、Aグループには通常クリエイティブをいれ、BグループはAグループ配信者を除外したうえで空白(透明/1pxなど)クリエイティブを配信、Bグループを非接触群として扱う方法です。

この方法のメリットは、きわめて単純に評価できる点です。
何なら広告管理画面上の媒体CVレベルでも答えが出てきます。

デメリットは、効果に寄与しない無駄うちをする必要があるので全体的なCPAが上がりうること、Bグループユーザーへ広告配信しないことで機会損失が生まれうること、AとBしか比較できず、別メディア/キャンペーン/グループの影響を加味出来ないこと、などがあります。

シンプルではありますが、制約も多い手法です。

データクリーンルームを使う方法

通常、データクリーンルームには、広告impしたユーザーのデータしか入ってきません。
ですので、広告主のデータクリーンルームではそもそも広告接触者しか分析できない状況です。

が、広告代理店や調査などのベンダーのデータクリーンルームでは事情が異なります。
彼らは、自分たち以外の広告主impユーザーのデータもDCR内に格納しているため、自社広告非接触ユーザーのデータもたまっているのです。

代理店特有の事情を利用し、自社広告接触ユーザーのCVRと、自社広告非接触かつ代理店保有のどこかの広告主接触ユーザーの自社CVRを比較することで、非接触ユーザーに対する接触ユーザーのリフトを見ることができます。

ちなみに非接触vs接触の比較の際には、広告配信ユーザーと同じかそれに近しい特徴を持つ非接触ユーザー群を指定することが何よりも重要です。

例で言えば、買い物好きユーザーのCVRと、買い物にそこまで頓着しないユーザーのCVRはそもそものベースが異なる場合があり、それは広告接触したかどうか以上に結果に影響を与える可能性がある、ゆえに同じようなユーザーで比較しない限り結果の解釈を間違うリスクを回避できないためです。

なお代理店DCRを使うメリットはほかにも多数あります。

推奨パターン

理想

アトリビューションモデルで、リフトを評価するのが理想的です。
これには、さまざまな計測ソリューション導入、複数のデータクリーンルーム使用、十分なデータ量、データハンドリングスキル、それに伴う計測・分析費用が必要になってきます。

フル導入が難しい場合には・・

現実

まずはラストクリックベースでも、リフトで評価するのをお勧めします。
といいますのも、

アトリビューションの評価はユーザー単位(CV単位)でパスを1本にもなさねばならず、Google・Facebook・Amazonを横断したCV貢献計測は単一ツールでは不可能

ゆえに、アトリビューション評価から始めると片手落ちになってしまう

であればまず手を付けるべきは、そのCVがビジネスに効いているのかをリフトで見ること

リフトで見れるのであれば、ロワーはCV、ミドルファネルはサイト来訪をCV地点としてそれぞれリフトでの評価も可能

といった状況だからです。

データクリーンルームを活用したリフト評価、始めてみませんか?

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