Cookieレス時代の広告配信と効果計測

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個人情報保護、プライバシー規制の一環としてのCookieレス。
Cookieを使わない、ではなく使えない、緩やかに使えなくなっていく時代がやってきています。

もはや対応するしかない、とはいえCookieに頼る部分が多い現状をどう変えるべきなのか、あるいは、変えざるを得ないのか、代替技術は存在するのか・・まとめました。

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Cookie 技術規制

OSやブラウザを提供するプラットフォーム提供事業者が進める各種技術的な規制により、インターネットでのユーザー識別における代表的技術であった「cookie」「モバイル広告ID」等の利用が制限されつつあります。

もちろんそれは、プラットフォーマーが望んで行うものではなく、外部要因として法的規制や生活者ニーズの高まりを受けての後手の策ではあるのですが、さらに後手に回らなければならない広告主にとってみれば、今までできていたことの何ができて何ができなくなるのかは極めて重要です。

プラットフォーマーが広告主に、そして生活者に課す技術規制について内容とAs is/To beを見てみましょう。

技術規制の内容

スマートフォンは、概ねAppleなのかAndroidなのかに二分されます。
ブラウザで言えば、Chromeなのか、Safariなのか、でシェアの大半を占めています。
ゆえに重要なのは、Apple/Googleの対応です。

Appleの場合

Cookieについては、ITPにより利用制限がかかっています。
サイトによっては即時無効化と書かれていたりもしますがそれは精確ではなく、

3rd party cookie:即時無効化
1st party cookie(Javascript発行):24時間で無効化
1st party cookie(サーバー発行):制限なし

で、サーバーサイドからcookieを発行することでITPの影響を回避できます(2022/11/1時点)。

一方の

RDID、appleで言うところのIDFAですが、こちらはそれほど優しくはありません。
ATT(App Tracking Transparency)により、オプトインユーザーのみ取得可能な状況です。

例えばアプリを使っていて、コのアプリではあなたのデータを取りたいのですが良ければ許可を推してください、というメッセージが出た時、許可しますか?
・・7割は離脱します。

なおiOS15ではさらにIPアドレス等一部位置情報などCookieやモバイルID以外のデータ利用についても制限が強化されています。

Google(Android)の場合

Appleほど苛烈ではありません。といいますか、Appleが先走っています。

Cookieについては2022年からデフォルトでブロックする・・という話を出していましたが、代替技術として提供予定であったFLoCは大不評、2023年以降でブロックを開始する予定と延期を表明しています。

RDID、Google Playで言うところのAAIDですが、appleのオプトインとは異なり、オプトアウトユーザーのみ取得不可です。

Appleよりも広告売上への依存度が高いことがその背景にありそうですが、なんにせよ現状は安泰です。
ただし、Android12でオプトアウトの対象をやや広げています。これまでAAIDを提供しないためには、AAIDの提供をしないというオプトアウトが必要だったのですが、これに加え、LAT(追跡型広告を制限)を有効にしている場合もAAIDが取れなくなっています。効果測定したいだけなのですが・・・
また位置情報についてもユーザーが提供精度を選択できるようになっています。

技術規制の影響範囲

広告配信においても、効果測定においても、影響を受ける部分と受けない部分があります。

広告配信

影響しない部分については、

その企業にとっての1st Partyデータ利用したターゲティング
プラットフォーマーの1st Partyデータを利用したそのプラットフォーマー内でのターゲティング

の大きく2種類です。Meta内で会員属性を指定する、Twitter IDで絞る、などで、基本、誰かの1st partyデータを、その誰かにとってのホーム環境で行う場合です。

逆にそれ以外の場合にはすべて影響が出てしまいます。例えば、

行動ターゲティング
リターゲティング
アプリエンゲージメントアド

等です。特にリターゲティングのマーク数減少は顕著ですね。
シグナル数が減少しターゲティング可能なユーザー総量が減少します。

また、シグナル数の減少は広告配信の最適化である機械学習にも影響を与えます。
CV計測ができないユーザーが増えることで、同じターゲットの中でもよりCPAが安そうな人に広告を出すCPA最適化配信、の最適化が弱まりつつあります。

効果測定

影響しない部分は、プラットフォーマーをクロスしない部分です。例えばですが、

インプレッション、クリック、視聴完了数
プラットフォームメディア内エンゲージメント数(いいね、など)

ですね。また、自社環境の中も当然変化しないので、1度買ってくれたお客さんのリピート購入、なども当然計測できます。

逆に、クロスプラットフォームの部分は欠損が起こりえます。

クリックスルーコンバージョン、ビュースルーコンバージョン
アプリインストール

など、広告がどのように成果に寄与したのかの計測は今後ますます難しくなっていきます。
合わせて、クロスプラットフォーム環境下でのリーチ計測も難しくはなるのですが、こちらは推計によって現状何とかなっています。

技術規制への対策

技術規制が進む中で、広告配信・効果測定それぞれについて代替的な手法が提供されています。

ユーザー個人を捕捉しない方法

広告配信については、メディアの記事コンテクストでターゲティングをするなど、ユーザー行動・属性以外の情報を活用したターゲティング手法を活用します。GumGumなどが強いですかね。

その記事を読んでいるということはつまりこういう状態でしょう、と判断してしまうものです。
当然、当たりはずれはありますが、記事の内容やジャンルを細かく見ていくことでユーザーの特性やモーメントは絞れていくものです。あとはPDCAを回すだけ、ですね。

効果測定については全体の動きを見て判断する、マーケティング・ミックス・モデリング(MMM)がその代表的な手法になります。
多くの場合時系列分析で、各時期に打っている施策の量や種類から、どの施策がどの時期にどれだけ貢献していたのかを明らかにできます。国内の代表的なプレイヤーで言えば、マゼランでしょうか。

ユーザーを集団として捕捉する方法

類似ブラウザ/ユーザーのグルーピング技術で実現する、個々のユーザーを特定しない粒度(集団)での広告配信・効果測定の技術を使うものです。

Google プライバシーサンドボックスは配信も計測も、といったスコープですが、まだまだテスト段階です。といいますか、そこまで必要性が高まっていません。

逆に充実しているのはAppleで、
Apple Private Click Measurement(PCM)
Apple SKAdNetwork

など、誰がその行動を起こしたのかはわからないが、どの媒体・ターゲティング・クリエイティブからどれだけの人が行動を起こしたのかはわかる、といった、効果計測はできる状態を提供しています。

N=1の個人を分析したいわけでは無ければこれで十分で、あとはそれほんとに正しいんですか、さえちゃんとしていれば・・・確かめようはないのですが。

Cookieではない技術でユーザーを個人として捕捉する方法

マーケティング活動への利用許諾を得たユーザーデータを活用し、ユーザー単位での広告配信・効果測定を継続する手法です。

広告配信で言えば、たとえば

購入者のRDIDやメールアドレスを利用し媒体側で拡張をかけるカスタマーマッチ / カスタムオーディエンス
プラットフォーマーが所有するオーディエンスターゲティング

など、新しいものではなく、これまであって使えるもの、です。

効果測定で言えば、

カスタマーマッチ同様ユーザーデータをプラットフォーマーに叩き込むことで突合するアドバンスドマッチ
データの所有を自社サーバーに固定するサーバーサイドタギング
データクリーンルーム

などがあります。

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