脱Cookieの流れが避けられない中、一番影響があるのは、”ユーザーそれぞれにパーソナライズされた広告を含む打ち手が難しくなる”というマーケター側の心理的なダメージなようにも思えます。
そのダメージを、”もはやユーザー単位ではなく集団としてとらえよう”・”文脈/コンテクストを捉えることでユーザーにアプローチしよう”と切り替えることができるものはそれでいいのですが、そうもできないものもあります。
ここでは、これまでのCookieから脱却し、新しく個人をどう捕まえに行くか、その広告配信活用と効果計測活用について学んでいきます。
Cookieレスの背景
こちらよりご確認ください。
ざっくり、AppleとGoogleが制限したせい、です。
Cookieではない、個人ベースの広告配信手法
個人を特定したうえでターゲティングを行う広告配信には、ファーストパーティデータを使うしかありません。
誰のファーストパーティーなのか、で大きく二つに分かれます。
広告主1st party dataを利用する方法
広告主が持つ顧客IDをプラットフォームへアップロード・プラットフォーム内で顧客IDとプラットフォーム内識別子をマッチングさせる方法です。
突合した結果残ったユーザーに対し直接広告を出すことはほとんどなく、広告配信にリストそのものを使う場合は除外リストとして使用、広告配信に活用する場合は拡張したものをリストにし配信します。
既存顧客に広告出しても意味ない/もっと効率のいい手段があるので・・。
この手法、媒体社によって呼び方が微妙に異なります。
Google:カスタマーマッチ
Yahoo!:オーディエンスターゲティング(顧客データを使うもの)
Amazon:アドバタイザーオーディエンス
Meta・Twitter:カスタムオーディエンス
LINE:オーディエンス配信(ユーザーを切る配信のほとんどがこれに該当しますがその中の一つ)
カスタマーマッチのようなもの、といえばまあ伝わります。
プラットフォーマー 1st party dataを利用する方法
プラットフォーマー側が持つユーザー固有のIDと、そのIDに紐づく属性を使用する方法です。
オーディエンスターゲティング、と呼ぶこともありますが、この言葉だとリターゲティングやカスタマーマッチも含んでしまうためあまり適切ではありません。
推計を含む各種属性(性年代年収などデモグラ情報)
推計を含む興味関心(affinity/カスタムインテントなどサイコグラフィック情報)
会話/発言内容
過去の検索内容
など、その媒体の経済圏の中でとれるであろうデータをフル活用したターゲティングです。
ゆえに媒体特性が色濃く出まして、例えばMeta facebookは情報を精確に登録しがちなのでデモグラやB2Bのターゲティングと相性がいい、Googleはシグナルを多数持っているので購買意向の強いユーザーが絞りやすい、、、などです。
Cookieではない、個人ベースの効果計測手法
クリックID計測などプラットフォーマー側で完結するものもありますが昨日は限定的でして、広告主1st party dataをプラットフォーマーに連携するのが一般的です。方法は、現状大きく3つあります。
アドバンスドマッチ
ユーザー情報を外部連携用のタグに書き込みプラットフォーマーへ送信、送信先側で広告接触者の情報とマッチングすることで貢献量を評価する手法です。
プラットフォーマーへ受け渡すユーザー情報ですが、例えばその企業特有の会員IDでは意味がなく、メールアドレスやRDIDなどプラットフォーマーが受け入れ可能なものを指定する必要があります。
サーバーサイド計測
アドバンスドマッチでは、タグに書き込むことでプラットフォーマーへデータを送りました。
サーバーサイド計測ではその作業は行わず、広告主のもつサーバーからプラットフォーマーへ、プラットフォーマーが提供するAPIを用いて情報を渡します。
サーバーから直接情報を送信するので、アドバンスドマッチよりも外部から攻撃を受けた場合の流出リスクは低いです。
なお広告主の持つサーバーですが、一般的には既存の顧客管理システムサーバーではなく、新しくそれ専用のCDPを作る(といってもGCPなどで簡単にできてしまうレベルで)ことがほとんどです。
システム部門とマーケ部門の目的や評価指標はまるで異なるので全社的な動きが難しい、既存システムに何か影響があったときのリスクが大きすぎる、などが理由のようです。
データクリーンルーム
プラットフォーマーの広告ローデータに対して直接集計処理を指示をすることで自由な分析が可能な新たな計測ソリューションです。
単体としてはその程度ですが、広告主保有のユーザーデータをアップロードしてクロス集計を行うことができるため、その機能を使います。
どの方法がおすすめか
効果測定のみを考えるのであれば、データクリーンルームが最もイージーです。
と、言いますのも、アドバンスドマッチやサーバーサイド計測では事前準備・設定が必要でしたが、データクリーンルームの場合はDCRを用意してさえいれば(広告アカウントをDCRに紐づけできてさえいれば)顧客データは後追いで入れることができるためです。
また、データクリーンルームに顧客データをいれる際にフラグ立てしておくことで、例えば高単価商品を買ってくれた人、クロスセルがうまくいっている人など、特徴別の分析なども自由に可能です。
一方、広告配信への影響も考えるのであればサーバーサイド計測も行うべきです。
媒体側の学習量減をリカバリーすることは、最適化の精度アップに欠かせません。