デジタルマーケティングの歴史をプライバシーの視点で振り返る(2002-2022)

広告
study
この記事は約6分で読めます。

データ活用の高度化とともにデジタルマーケティングは発展してきました。
テレビはマスリーチをとるだけ、細かくコントロールもできず若者のテレビ離れも起きている・・対してデジタルはスマホ普及により全員がアクセス可能な環境でかつデータが細かく取れるのでパーソナライズもでき購入まで完結・・さあうちの会社もデジタルシフト、そんな流れもありました。

しかし、プライバシー保護強化の動きに伴いその潮流は変わり、デジタルマーケティングの活動全体も変革期を迎えています。

この記事では、デジタル広告の歴史をプライバシー観点からざっくり振り返ります。

広告

ユーザーデータ利用技術発展期

2002年

日本ではじめて、検索連動型広告(リスティング広告)が始まりました。
2005年をそう呼ぶ人もいますが、多くの場合2002年が運用型広告元年と呼ばれています。

なおYahoo!広告(純広)が始まったのは1996年、枠を売るだけのお仕事が生活者の行動に合わせた広告を出すお仕事に代わるといいますかその仕事も追加になるまで、6年の月日がかかっています。
ようやく、TVCMのような売り方から変化し始めた、そんな年です。

2005年

Cookieを活用した技術、主に行動を捕捉するターゲティング技術が商品化され始めました。
リターゲティング・リマーケティングが流行りだしたのも2005年からです。

除外リストとして指定する、という考え方はまだ弱く、いかに一度サイトに来てくれた人を深いファネルに落とし込むか、そのための効率的なアプローチ手段として脚光を浴びました。

2008年

運用型広告が一気に広がった、その要因となる技術が登場します。
すなわち、リアルタイムビッディング(RTB)およびそれを前提としているDemand-Side Platform(DSP)です。SSPや第三者配信といった要素も当然こちらで出てきます。

キーワードは、枠から人へ。
別段コンテキストターゲティングを否定する必要はないですし、たとえ狙っているターゲットだったとしても今はその気分ではない可能性もあるので必ずしも人だけで狙うのは正しくないのですが、しかし人を狙えるという技術そのものが革新的なものでした。

2013年

Data Management Platform(データ マネジメント プラットフォーム)・DMPが登場します。

プライベートDMP、オープンDMPともに画期的なものでした。

プライベートDMPは自社独自で保有している購買履歴や行動履歴、興味関心などのマーケティングデータを蓄積・管理しているもの。
当時はanonymousの要素が少なく、既存顧客ではないユーザーについてもデータがリッチにためられました。

オープンDMPは、データ提供企業が保有している「Webサイト行動履歴」や「年齢・性別などの属性情報」などの情報や属性を取得しているもの。

プライベートDMPにオープンDMPの情報を掛け合わせ、ユーザーを丸裸にする。ペルソナ分析を行う、そんなこともはやり始めました。

また、アトリビューション分析が始まったのもこの年です。
運用型広告全盛期、当然のごとくラストクリック・媒体CVで評価されてきた中、DMPを使えば広告貢献量も可視化できてしまう、ユーザー単位でプラットフォーム横断分析ができてしまう、さて本当に効果のあった広告をアトリビューションで見てみましょう。
そんな流れです。

2017年

機械学習時代の幕開け、と呼ばれています。発端は、GoogleのGorin構想発表です。

旧来のリスティング運用では、そのコンセプトは”人間が、細かく管理する”ものでした。
ですので、アカウントはできるだけ細かく、1キャンペーン1グループ1キーワード、なんてまとめ方も珍しいものでもなんでもなく。
実際、機械の側の学習能力が全然イケてなかったために、まとめてしまうととんでもないことになっていた、まとめずに細かくオペレーションすることで成果が上がっていた、そんな時代でもあります。

そんな時代を打ち破るべく、2016年(正確には2015年ですが)、Googleが打ち出したのがHAGAKUREです。
HAGAKUREは、そのコンセプトを、”検索する人のモチベーションに合致したアカウント構造”にすることとしています。
ですので、同じようなモチベーションで検索しているキーワードは同じ広告グループで、同じTDを出すことを基本としています。(HAGAKUREの重要な考え方の一つ、アドユニークネスの根拠です)

さらに、HAGAKUREの浸透によりネクストステップとして打ち出してきたのがGorinでした。

HAGAKUREのコンセプトが、”検索する人のモチベーションに合致したアカウント構造”であるのに対し、GORINのコンセプトは、”ユーザーが求めた情報を正しく・適切なタイミングで届ける“ことです。
つまるところ、GORINはHAGAKUREの上位互換、となります。

アカウント構造では、HAGAKURE+入札のお話で、HAGAKUREのコンセプト、単純化(simplification)&アドユニークネスを踏襲しつつ、自動入札の方法を推奨しています。

そう、自動入札です。

機械側のほうが賢くなってきたため、自動に切り替えましょう、機械学習しやすい形で進めましょう、その流れは、今も続いています。

ユーザーデータ保護への対応期

2018年

Safariブラウザでクッキー規制の規格ITPが適用開始されたのが2017年、徐々に影響が見え出したのが2018年です。
またそれだけでなく、欧州プライバシー保護新法であるGDPRの施行が開始された年でもあります。

日本での影響はまだまだ小さいものでしたが、それでも、今後の流れの起点となった年に違いはありません。

この流れを見据えて、データクリーンルームが初めて登場した年でもあります。
Google Ads Data Hubはその先駆けでした。日本では電通が最初にトライアル活用しています。

2020年

GDPR同様海外の話で言えば、米国カリフォルニア州にてCCPAが施行されました。
日本の話で言えば、個人情報保護法の改正が公布された年でもあります。

今後2年間の猶予の中で、各企業が対応を迫られている・・そんな状況に陥った年です。
Cookieは終わった、どころか、デジタルマーケティングの終焉、とまで言われていました。

2022年

個人情報保護法が施行され、情報の取り扱いが一層難しく・厳しくなっています。

その回避策として様々なものが提唱されていますが

こと広告効果検証において、汎用性が高いのはデータクリーンルームです。
主要プラットフォーマーのデータクリーンルームが出そろい(かつdocomoなど広告配信PFではないところもDCRを提供し始め)、個人は特定できないけれどもちゃんと見たいものが見れる環境が整いつつあります。

終わりに

これから先もユーザーデータ保護・それに伴う規制の流れは続きます。
罰則が強化される程度で済む話ではなく、今は延期されているChromeブラウザのクッキー規制やAndroidのAAIDの扱いなど、今データクリーンルームで使えている識別子の利用も難しくなる可能性があります。

世界で何が起こっているのか、プラットフォーマーがどう対応しているのか。
定期的に追いかけていきましょう。

タイトルとURLをコピーしました