プラットフォーマー横断、データクリーンルーム横断利用が必要な3つの理由

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oudan
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個人情報の取り扱いに厳しい制限が加えられているこの時代、各プラットフォーマーが提供するデータクリーンルームの活用はGoogle ADHを筆頭に進んでいます。が、DCRの横断的な利活用については全く進んでいませんし、概念上難しい要素も入るため必要であることを理解していない代理店マンも多くいます。

今回は、なぜデータクリーンルームの横断利用が必要なのか、それによって何ができるのか/個別データクリーンルームのみの活用ではなにが足りないのかを解説します。

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データクリーンルームとは

データクリーンルームとは、メディアプラットフォーム各社が整備を進めている、プライバシーに配慮した新たな広告効果可視化につかえる、各プラットフォーマーそれぞれが用意した仕組みのことです。

プラットフォーマーが容易してますので、基本的にそのプラットフォーム特有のデータのみ扱うことができます。
また、広告代理店のDMPなどに第三者データを紐づけて使用することで、例えばTVCM視聴と広告接触の重複効果、なども見れるようになってきます。

個人が識別できている状態でのメディア接触データを、アウトプット形式としては個人を識別できない形で把握可能、それがデータクリーンルームです。

個別データクリーンルームの限界

データクリーンルームはプラットフォーマーそれぞれが、それぞれの事情に合うように・自分たちのプラットフォームが有利になる/不利にならないように、データを分析できるように整備しています。

それゆえに、プラットフォームを横断して、あるいは統合して何かを見よう、という思想はそもそも存在しません。

これゆえに、課題が2つでてしまいます。

個別メディア評価があいまいな面を持つ

例えば、
〇:Youtube接触有無でCVR比較、Youtube接触有の方がCVRが高い
×:上記で出たYoutube接触有の方がCVRが高い影響は、完全にYoutubeの効果
ということになります。

といいますのも、大前提、Youtube以外の媒体、例えばFacebook広告やYahoo!ブランドパネル、さらにはTVCMなどGoogle ADHにimpログデータが入らない施策効果は評価の対象に入りません。
ですので、例えば YoutubeとTVCMに重複接触することでCVRが著しく上昇する(重複接触効果が高い)、全広告の接触回数についてFQ5回を境にCVRが激伸びする、といった事象は評価できません。

Youtubeをよく見る人はTVCMをあまり見ないような場合、
Youtube接触有=TVCM非接触者比率が高い
Youtube接触無=TVCM非接触者比率が低い
といった状況が起きかねず、Youtubeの効果なのかTVCMの効果なのかあいまいになってしまう可能性があり、それはADHであれば”Youtube効果のみ”へと結果が収斂してします。

メディア接触によるリフト効果は分かりますが、果たしてそれが本当にそのメディア単体の効果だったのか、はあいまいな部分を残してしまうのです。

施策全体の効果が分からない

先の例で、YoutubeとFacebookのみ実施している場合を考えてみます。
個別メディアについては、Youtubeのリフト効果は、本当にYoutubeだけの効果といえるのか怪しい部分があります。Facebookのリフト効果についても同様です。

また、そもそもYoutubeとFacebookの重複接触によるCVRリフト効果もある可能性がありますので、Youtubeのリフト数+Facebookのリフト数≠施策によるリフト数
です。

ゆえに、施策全体のリフト数を個別データクリーンルーム活用のみで算出することはきわめて難しいのです。

データクリーンルーム横断利用の必要性

データの網羅性

Google Ads Data Hubでさわれる広告接触データはGoogleのもののみです。
もちろん、Google Campaign Manager360を導入している場合はYahoo!広告への接触、Twitter広告への接触も一部メニューで計測可能です。

ただし、どう頑張ってもAmazon内のAmazon DSPやスポンサードプロダクト、Meta(Facebook/Instagram)の接触効果:ビュースルー効果をGoogle ADHで追うことはできません。

また、Amazon内の購買についてもAmazon以外のプラットフォーマーはタグ設置ができないため、直接的な計測はできません。

ですので、そもそもplatform横断で施策を実施・データクリーンルームで分析を行う場合、データクリーンルームを横断利用しない限り結果は片手落ちになります。

片手落ち感についてですが、例えば、
使うデータクリーンルームはADHのみ
ADHでGoogle広告を分析
インマーケットセグメントごとにYoutubeのCV効率を比較しセグメントを絞る
程度の分析活用であれば片手落ち感もそこまで問題になりませんが、Youtube広告の獲得リフト数

ですが、
使うデータクリーンルームはADHのみ
ADHでGoogle広告を分析
Google広告のCVリフト効果を算出
といった分析・解釈を行う場合、なぜ他のプラットフォーマーの広告は分析しないのか、Google広告内の話は分かるがそもそもGoogle広告は良かったのかなど、それ以外のこと・周辺領域もいろいろと気になってしまうものです。
気になってしまったら最後、片手落ち感が、なんなら分析しなかったとき以上に残念な後味を残すことになってしまいます。

ゆえに、横断的なDCR活用は必要なのです。

データ可視化・解釈の共通基盤化

Meta Advanced Analytics、LINE Ads DataHubなど、プラットフォーマーによりアウトプット可能な粒度に差はあるものの、それぞれのプラットフォーム内広告を細かくチューニングしていくために、差があるというよりもむしろ”細かいデータまで提供してくれているPFもある”程度の理解でよいかと思います。

が、施策を俯瞰してみる際に、あるいは実行したメディアプラニングを振り返る際に、プラットフォームをまたぎ横比較する必要性が生まれます。

可視化の方法はエクセルであろうがパワーポイントやkeynoteであろうがダッシュボードであろうが、なにであってもよいかと思いますが、横比較するための項目名・データの定義はそろっている必要があります。

データクリーンルーム横断利用の視点がなければきれいなダッシュボードは作れません。
また、特に広告接触によるリフト効果を算出する場合、母集団は各データクリーンルームでそろえておく必要があります。

くわえて、デモグラフィックやサイコグラフィックなどの分析もプラットフォーマー横断で見ることで、本当に効果のある人たち・商品やサービスが響く人たちが見えてきますし、その特性をもつ人たちにどの程度施策がリーチしているのかも追うことができます。

例えばですが、

サッカー好きは全プラットフォームで効率が良くリーチ率は23%
⇒強化余地があり、セグメントリーチ効率の高いYahoo!を強化

金融リテラシーの高い30代はFacebookで効率が良くInstagram、Twitterは効率が悪い
⇒仕事モードのときのみ効率が高い可能性、Facebook強化+コンテキストターゲティング実施

といった判断が可能になります。
特に、”特定条件でのみ効率の高いセグメント”をさがせることが魅力的です。欲しくなるタイミングへのアプローチ、大切です。

ビジネス貢献度の評価

【今回のキャンペーンでは8,000万円を使用。実際どの程度の売上貢献があったのか】
その疑問にデータクリーンルームで応えるためには、DCR横断・プラットフォーム横断で分析するしかありません。

Youtubeで150件、Metaで50件、LINEで130件、Amazonで70件、Yahoo!で60件、Twitterで40件
150+50+130+70+60+40=600件のリフトでした
そんな、個別プラットフォーマーデータクリーンルームの計算結果の足し算は間違っています。

なぜならば、例えば、
Youtubeによるリフト150件の中には、Youtube×Metaの重複接触によるCVR上昇効果もふくまれているので純粋にYoutubeの効果ではない
Youtubeによるリフト効果を算出する際、Youtube非接触者はYahoo!接触者比率が高くベースラインの算出が適切では無かった
といった事象が起こりうるためです。

すべてを包括してみていくことで、きれいなベン図でリフト件数・リフト効率が算出できます。

サマリ

個別データクリーンルーム活用に意義は大きいが、個別での分析だけでは片手落ちになるケースがあり、横断活用が期待される。

そもそも施策で使った全プラットフォーマーのデータを分析すべき

データクリーンルーム横断利用視点によるデータ可視化がきれいでわかりやすい

デモグラフィックやサイコグラフィックなどもプラットフォーマー横断でみることで生活者との相性やリーチ、あらたな打ち手や強化抑制方針が見つかる

施策全体を通じたビジネスへの最終貢献度もわかる

など、データクリーンルーム横断活用による利点は大きい。

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