獲得を目的としたデジタル広告のうち、ほとんどの企業・サービスで広告CPAが最安の部類に入るのがリスティング 指名系キーワードへの広告出稿です。
ですが、そもそも広告CPAでの評価は”正しい”のでしょうか?
今回は、リスティング指名検索広告の評価手法の正しさや、データクリーンルームでの検証方法についてまとめました。
リスティング指名検索の評価について
誰が指名検索するのか
指名検索広告とは、広告出稿のタイミング=検索されたキーワードが自社社名・サービス名指名であるものの総称です。
オリックス生命 のような単ワードもあれば、 楽天証券 手数料といった掛け合わせキーワードもあります。
単ワードは様々なモチベーションのユーザーがおり、会員登録システムがあるような場合には既存会員比率が高くなりがちでもあります。
掛け合わせであればモチベーションが絞りやすく、例えば×ログインのような既存会員ほぼ確定キーワードは除外する、といったアクションも取れます。
指名検索した生活者への広告ですが、生活者サイドに立ってみれば、その社名・サービス名を知らないことには検索できません。
また、知っているだけで検索するわけでもなく、もっと知りたいと気になったから、使ってみたいと思ったから、・・など、モチベーションが高まっているタイミングで検索されています。
つまるところ、指名検索をする人は、その商品・サービスをすでに知っているうえで、さらによく知りたい/ブランドに対しアクションを起こしたい、そんな人です。
指名検索広告出稿、詳細は下記記事にまとまっています。
広告CPAでの評価は”正しい”のか
ブランドに対しアクションを起こしたいと考えている確度の高いユーザーへの広告、それがリスティング指名検索広告です。
では果たして、その広告評価は広告CPAで正しいのでしょうか?
もし仮に、広告予算が広告の獲得だけで評価されるような場合、評価はただしいといえます。
もちろん、広告がなくても自然検索できたであろう人たちも含んでいるため、絶対的な正しさではありません。
ですが、
・広告主が代理店を評価する手法を広告CPA・広告ROASしか知らない
・広告主の会社・部署の中で、広告の獲得成果だけが追い求められている
といった状況は珍しくありません。
広告CPAで満足しているのであれば、その評価手法のリスクを伝えたうえで、広告CPA出の評価を続ける、そんな選択を取らざるを得ない場合も往々にしてあるのです。
絶対的に正しい評価方法とは
とはいえ、広告CPAではなく広告によるビジネス成長へのコミットを精確に計測したい、そんな葛藤を抱くビジネスパーソンにおすすめの方法はあります。
それが、広告効果を”リフト”で評価する方法です。
リフトとは、広告がそんざいしなければ獲得できなかったであろう人たち、のことです。
広告にあたろうがあたらなかろうが行動したであろう人たちの影響を除外することで、真の貢献度を算出できます。
詳細は下記記事にまとまっていますが、
記事では、広告を評価するKPIを計測する方法を紹介しています。
広告に接触しなくともCVしたであろう人たちの影響を除外することでリフト効果を算出します。
母集団をそろえるのは広告代理店にとって得意領域で、実際の算出にはデータクリーンルームを使います。
データクリーンルームを使った指名検索広告の評価
使用するデータクリーンルーム
リスティング指名検索の効果検証、ですので、リスティング指名検索を出稿しているプラットフォーマーのDCRをつかいます。
具体的には、
Google AdsDataHub
Yahoo!DCR
Amazon Marketing Cloud
の3つです。
データの定義
指名検索流入をはかるので、”指名検索流入”を指定する必要があります。
広告の指名検索流入について、
Yahoo!とAMCではデータクリーンルーム内でそれが判別できるのですが、Google ADHはリスティングが繋げないため同様の方法がとれません。
リスティング指名検索経由で流入してきた場合のみ発火する媒体CVタグを埋める、リスティング指名検索経由で流入してきたことが判別できるようCDP/DMP側でコントロールする、のいずれかの方法が必要です。
後者は広告代理店が持つAudience Oneのようなシステムを使うのがイージーです。
自然検索の指名検索流入について、Yahoo!ではそれが自由にあつかえます。Googleではリスティング同様の方法で工夫する必要があります。
検証方法の定義
検証したいことは2つあります。
①リスティング指名検索広告を出さなければその人は流入しなかったのか
②リスティング指名検索広告を出さなければ、その流入した人は獲得できなかったのか
です。今回は①にフォーカスします。
指名検索広告を一時的に止めるないし弱めることができる場合は、いくつかエリアを選定して広告をコントロールし、コントロールしていないエリアと下記指標で比較します。
(リスティング指名検索流入+自然検索指名KW流入)/指名KW検索数
データクリーンルームは関係ないです。
指名検索広告を弱めるなどコントロールすることができない場合、広告代理店の知恵をたよることになります。
①リスティングがあればリスティングで入ってくるユーザー
②リスティングがあっても自然検索で入ってくるユーザー
③リスティングがなくとも自然検索で入ってくる特性のあるユーザー
④リスティングがない場合入ってこないユーザー
という特性をユーザーごとにフラグ建てし、
現状のリスティング流入ユーザー=①について、
・③の割合を出すことでどれだけ無駄うちだったのかを判断
・④の割合を出すことで本当に意味のあったリフト分を判断
します。これはデータクリーンルームで処理するのが楽です。