データクリーンルーム周りの取り組みは、日本国内では電通が常に最先端です。
常に、と言いますのは、あらゆるプラットフォーマーとのデータクリーンルーム関連の取り組みで、まず電通と組んで始めることがデフォルトになってきた、ということでもあります
TOBIRASとは
なおリリースはこちらです。
TOBIRASを評価すると
横断計測の魅力
データクリーンルームの横断活用は、データクリーンルーム時代の幕開けから1歩進んだ話です。
単一データクリーンルーム、もしくは、複数のデータクリーンルームを使っても結果を連動させない方法ではたどりつけないような、
データの網羅性
データ可視化・解釈の共通基盤化
ビジネス貢献度の評価
まで踏み込んだ施策評価が可能になるためです。
TOBIRASのすばらしいところ
TOBIRASとは、複数のデータクリーンルーム環境での分析・運用を一元管理するシステム基盤のことです。
TOBIRASの座組では、システム基盤であるTOBIRASからADH、AA、docomo data squareに至るまですべてのプラットフォーマーデータクリーンルームへデータを送り、分析可能です。
そうして出てきた分析結果を、データクリーンルームを横断した形で、共通の表現でダッシュボードにて可視化します。
種データは電通のpeople driven DMPですので、その中で付与されている属性データを使ったインサイトの可視化は、プラットフォーマー毎に定義の異なるアフィニティとは違い横断での解釈・正しいうち手の検討に役立ちます。
なお電通では、データクリーンルームへのアクセス環境は比較的オープンです。研修とセットにした認定制度によりテクノロジースペシャリストやプラットフォーマー担当にとどまらず、現場スタッフでもDCRを叩けるようにすることで、リソース分散・現場での付加価値創出・現場ナレッジを開発へ反映など、さまざまなメリットがうまれる・動きやすい仕組みとなっています。
TOBIRASでもまだまだなところ
TOBIRASでは、複数のデータクリーンルームに対して一括で安全なデータ転送が可能であり、同一の集計および補正ロジックにより各データクリーンルームの分析結果を統一指標によって横並びで比較や評価ができるそうです。
ですので、データクリーンルーム横断・複数プラットフォームの結果比較、という意味では1歩前進しています。これは素晴らしい進歩です。
が、もちろんまだまだ発展途上といいますか、手が届いていない部分はあります。
それは、媒体重複接触効果の加味とそれを使用した予測シミュレーションモデルの構築です。
全データクリーンルームにTOBIRASから同じデータセットを流し込み、型化され集計をまわすことで、全データクリーンルームで同じ形式のアウトプットが出てくるようになっています。
それらの結果を、たいていの場合iOSのための補正などを行い、同一KPIへの貢献度を横比較できるようにした、というのが、今回のリリースの一番の目玉でした。
が、この方法では、YoutubeとYahoo!に重複接触したことによるリフト効果はYoutube、Yahoo!の双方に乗ってしまいます。
重複効果があるとすると、重複が大きい媒体ほど有利になり、リーチ補完のような媒体は不利になってしまいます。
さらに、重複接触効果を加味したシミュレーションになっていないため、単媒体のCost-KPIリフトの対数関数曲線かそれに近しい試算グラフが描かれることになります。
YoutubeとYahoo!に重複接触によるCVR上昇効果がありかつYoutubeの方が効率が良かったとしても、Youtube 5,000万円・Yahoo! 500万円よりも、Youtube 4,500万円・Yahoo!1,000万円のほうが効率がよい可能性もあるのです。
あと一歩踏み込むことで、横断利用から統合利用へ、進化します。
今後電通グループがどのように展開していくのか、楽しみです。
総評
TOBIRASは、これまでの単プラットフォームのデータクリーンルーム利用にとどまらず、共通のデータセットを提供することですべてのデータクリーンルームで同質のアウトプット出力を可能にした。
これにより、プラットフォーマー横断で、
・同一KPIによる広告メニューの横比較
・同一のデモグラ/サイコグラフィック定義による広告接触効果把握
・それらをきれいにビジュアライズ
が可能になるなど、より広告主の求めるものに応える形でのアウトプットができるようになった。
一方、TOBIRASでもできていないことはプラットフォーマー/データクリーンルームの統合利用である。
媒体重複接触効果の計測、重複接触効果を加味した予測モデルの作成など、現実に起こっていることを考慮するうえで、TOBIRASにはまだまだ伸びしろがある。