広告代理店契約のデータクリーンルームを使うメリット・デメリットとは

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データクリーンルームは、広告主が契約することもままありますが、たいていの場合広告代理店が契約しているものを使うことになります。

それ以外選択肢がないこともあり得るのですが、とはいえ、代理店のDCRを使うことのメリット・デメリットは把握しておくに越したことはありません。
うまいようにやられないためにも、知識を杖として、パートナーとしてビジネスの成功に向け共存共益で歩んでいただけますと幸いです。

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代理店DCRを使うメリット

そもそも代理店しか契約できないDCRがある

現状、Google Ads Data Hub、Amazon Marketing Cloudは広告主でも契約可能です。
また、Yahoo!のデータクリーンルームも業務委託形式で使うことはできます。

一方、LDH、Twitter DCR、Meta AAについては広告代理店、しかも限られた広告代理店しか使用できません。が、この状況は変わる可能性もあります。
たとえばLINE Ads Data Hubは2022年11月時点で電通グループ・博報堂グループ・サイバーエージェントにのみ解放されていますが、LINE社はトレジャーデータ社と業務提携しており、今後LDHの一般開放(TD環境)が起こる可能性が高いです。

代理店データを突合しやすい

代理店DCRですので、代理店の中にあるデータとの親和性は高いです。
例えば電通・博報堂で言えば、TV視聴ログ・Web行動ログ・App行動ログは一元的に管理されているため、TVCM接触者のWeb行動有無をApp ID(RDID)で把握し、リストとしてDCRへ投入することも可能です。

型化されていることが多い(早い・安い)

データクリーンルームを使う広告主は、あなたが最初ではありません。どこの大手代理店にせよ、100件以上の実績があります。
それはすなわち、

データクリーンルーム内で望む結果を出すためのクエリ
出てきた結果をダッシュボード・パワーポイント上できれいに取りまとめるための準備
代理店が持っているデータをデータクリーンルームに叩き込む部分

はもはや出来上がっていることにほかなりません。

よほど特殊なことをしない限り開発が発生しないので、早い・安いといった恩恵を受けられます。
まるで後発薬のように・・

レポーティングまで任せることができる

広告代理店ですので、結果報告まで任せることができます。
かつお金を払っているのであれば、クオリティに注文を付けることもできます。

そのまま上申に使える資料、部内ナレッジとして蓄積できる資料など、フォーマットさえも使用しやすいものを指定し、自分たちの工数削減を実現しましょう。

また、広告運用を任せている代理店のデータクリーンルームを使うのが通例ですので、これまでの施策・キャンペーン内容を踏まえた解釈・レビューをお願いすることができます。
DCRで分析したとしても結果の解釈からは逃げられません。なぜその結果になったのか、これまでの施策内容やその反応、代理店と広告主のコミュニケーションを踏まえた解釈に期待できます。

他広告主データも使用できる=upLiftがわかる

広告主のDCRを使う場合は自社広告データしか入っていないのですが、代理店DCRを使う場合は通常全広告主のデータをDCRに入れています。

ですので例えば、
広告を配信した人=impのある人のサイト来訪率

広告に接触していない人のサイト来訪率
を比較することができます。

impなし=ベースライン、広告を打とうが打たなかろうが達成されたであろう人たち、ととらえることで、真の広告効果を計算で求めることが可能になります。

代理店DCRを使うデメリット

広告主側に開放されない=自由度が低い

代理店DCRは、その管理画面を江奥主に開放することができません。
規約云々はあるようですが、それ以上に、
・クエリを書きさえすれば全広告主のデータが見れてしまうから
・アクセス者を絞ることが個人情報保護につながるから
とのことです。

何かしたくなった場合は都度お願いする必要があります。

分析のたびに費用が掛かることも

お願いする=代理店側で稼働が発生する場合、人件費が発生しています。
もちろん現場のやり取りでうまくやらせることもできなくはないのですが、それはただでやってもらっているというだけの話です。

実際はお金がかかっている(お金を取らずにアディショナルな工数を割くことはできない)、と認識しましょう。

選べるのであれば、代理店DCRを使うべきか

結論

使うべきです。

広告代理店のデータ(3rd party data)を使うには、基本的に広告代理店のDCRを使うしか方法はありません。
また、広告代理店のDCRを使用することで、真のリフト効果を見ることができるのも大きいです。

上記2点が主因でして、レポートのきれいさなどはおまけですね。
型化されているとその会社全体のナレッジを使えるため、いつもの担当者のレポートよりもきれいになることも少なくありません。

また、代理店DCRは使うべきですが、可能であれば広告主でもDCRを持っておくのがおすすめです。
代理店が出してきた結果の裏取りはもちろん、独自軸での切りなおしや期間を変えた出し直しなど、手元でできてしまうメリットは大きいためです。

DCR開設方法は分からなければ代理店にサポートをお願いしましょう。

代理店フィーについて

DCRでの分析・レポーティングに、代理店フィーが発生するのはビジネス上当たり前の話です。
フィーを払いたくない、ただでやってくれませんか、という広告主担当者は存在しますが、ただより高いものはなく、その分どこかで帳尻を合わせて工数を削る・担当優先度が下がる(手を抜く・人を削る)・余計な費用を確保しておく等されているものです。

とはいえ、余計なお金は支払いたくないものです。
その分みんなで焼き肉に行ったり、新規広告メニューにチャレンジしたりと、お金の使い道はいくらでもあるので・・

デジタル広告には通常、マージンがのせられたうえで請求されています。
そのマージン、いったい何のためのマージンでしょうか?広告運用をするだけのマージンですか?

PDCAの中で特定の分析が必要、その分析をするためにDCRが不可欠、なのであれば、それはマージン内でやらなければならない分析に該当するかもしれません。

例えば、広告費用がグロス1,000万円/月、マージン率がグロス20%の場合、月に200万円はマージンで支払っていることになります。
200万円分の働き、してもらってますか?

例えば電通は、下がり続けるメディアマージンに対してデータクリーンルームこそ高付加価値で生き残る道だと説いています。

労働の対価はしっかりと払う方向で、とはいえ良いようにやられないように、知識をつけていきましょう。

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