α版からスタートしたAds Data Hub、ADH。
β版、そして正式リリース後もアップデート/プライバシー配慮の制限を繰り返し続けてきました。
が、ここきてアップデート、といいますかプロダクトの方向性にかじを切る、ADH for Marketersの実装が始まっています。
従来のADHと何が違い、どこに向かっているのか、まとめました。
ADH for Marketersの必要性
Googleのデータクリーンルームとして、ユーザーのプライバシーを保護しながら、広告主、代理店、測定パートナーがキャンペーンのカスタマイズされた分析を行うための”箱”です。
これまで、全世界で3,000 を超えるブランド、代理店、測定パートナーが、それぞれがそれぞれの目的のためにADHを使用してきました。
ここで重要なのは、ADHは広告主、代理店、測定パートナーといった多種多様なプレイヤーに向けた箱である点です。
それぞれ明らかにしたいことが異なるため、各自が各自の目的のためにクエリを書き、可視化のための環境を作ってきました。
が、それはGoogleにとって望ましい環境とは必ずしも言えないようです。
Google側、プラットフォーマー側でサポートを提供することで、より一層ADH利用を加速させたい。
GCP個別契約でチャリンチャリンしたい・テレビ予算をYoutube予算へ付け替えさせたい・もっとGoogleに広告費用を・マーケティング活動を他のプラットフォームではなくGoogleがリードしたい・・・などなど、さまざまな目的の元、プロダクトにメスを入れ始めました。
ADHを使うマーケティング担当者の分析目的は、
生活者の購入経路・接点を定量化する機能
新しいオーディエンスを活性化する機能
を求めています。
いずれの機能も既存ADHでクエリを書けばある程度明らかになるものですが、1から書くのは少々厄介なこともなくはないものです。
マーケター向けの Ads Data Hubにより、その問題の解決を目指しています。
ADH for Marketersとは
インサイトにシームレスにアクセスする・メディアによる貢献度をより適切に知ることなどを目的として、マーケティング担当者がADHにてクエリを実行しファーストパーティデータをアクティブ化するためのエクスペリエンス=作業を簡素化してくれるもの、だそうです。
例えば、広告タッチポイントごとにクレジット=広告によるビジネス貢献度、アトリビューションを割り当て、広告費用対効果 (ROAS) を精緻に測定、広告運用に反映することでより効率よくビジネス成長につなげることができる、そんな環境をマーケター全員に提供します。
マーケター向けのアップデートも多数予定されており、Ads Data Hub for Marketers を使用して、広告主や代理店が自社データを測定および有効化できるようにするソリューションをアップデートし続けていく、広告主や代理店の方を向いて開発を続けていく、との意思の表れです。
ADH for Marketersの素晴らしい点
現状、マーケター向けのADHと既存ADHを比較しても特段変わったことはありません。
が、今後の開発計画については大きく異なります。
マーケター向けADHとして舵を切ったことで開発が進めやすくなったのでは、と推察されますが、起こりうるイベントとして、
新しいクエリテンプレート
自動化されたワークフロー
レポートの更新機能
PAIR実装
YouTubeを含む新しい広告枠でオーディエンス セグメントのアクティブ化
が挙げられています。
最も歓迎すべきは、オーディエンス セグメントのアクティブ化、広告配信への活用可能性です。
特に広告代理店にとって、生活者データと広告接触ログデータを掛け合わせ、
・まだTVCMにあたっていないユーザーにYoutubeを配信する
・ミドルファネルユーザーをロワーファネルに送り込む
・アフィニティやインマーケットセグメントの掛け合わせ&ブランド好意を抱きやすいユーザーをシードとして取り込む
といった、やりたいことができる環境が近づいてくる点が素晴らしいです。
クエリテンプレートは世界中の先進事例が型化されるもので歓迎ではあるものの、考えさえすれば自力で作り出せもするのでそこまで恩恵は大きくありません。現に、例えば電通であればAffinity Visualizerという形で裏側クエリとダッシュボードまで開発済です。
ワークフローの自動化やレポートの更新ですが、こちらは少なくともコンソール上からはできなかったことであり、”デイリーでの確認と広告運用オペレーションへの反映”といった作業が現実的に可能になってくる、歓迎すべきことです。