基本プレイ無料のゲーム、より一層楽しむためには・・大人の力、課金です。
ゲームパブリッシャー側からしてみれば、基本的に課金してもらわないことには収益が発生せず、開発費用・ランニングコストを賄うことはできないわけです。
今回はゲームプレイヤー獲得のための広告をADHでアップデートしたLoL/ライアットゲームズの事例を見ていきます。
背景
LoLでは、ゲームプレイヤーザー数(おそらくDAU)を拡大しつつ、その獲得単価を下げたいと考えていました。とはいえそこに至る道は平たんではないことは理解していたため、まずは現状把握に乗り出します。
すなわち、現在の広告配信メディア/クリエイティブなどについて、どれがコンバージョンを増加させているかを特定し、どの広告タッチポイントが最もビジネス価値を高めているかを測定すること、これがスタートです。
データ環境で言えば、League of LegendsではRiot GamesのWeb サイトからサインアップしてゲームをダウンロードする都合上、サインアップ=アカウントにはユーザーの属性情報やゲームプレイ情報が紐づいており、極めてリッチなファーストパーティデータを保有している状態でした。
しかし現状、リッチな1st party dataは広告配信結果と突合出来ておらず、どの広告タッチポイントに効果があったのか、カスタマージャーニー全体はどうなっているのか、理解できる環境ではありませんでした。
取り組みと成果
海外ではよくあることですが、個々のユーザーに関するデータを外部に出したくない、という意図が強くありました。代理店に預ければ簡単にわかることでも、です。
そこで使われたのがADH、プライバシーセーフティな分析環境でした。
広告配信はDV360を使用、計測ソリューションとしてCM360を導入したLoLチームは、Ads Data Hub 上で自社の1st party dataとディスプレイ&ビデオ 360およびキャンペーン マネージャー 360のデータを突合するマッチングテーブルをわずか4週間で作成、分析環境を整えました。
この分析環境から様々なクエリをたたくことで、
・現在、広告キャンペーンでは1 ドル使うごとに2ドルの収益を上げている
・広告を見た人はより頻繁にサインアップする(米国では135%、ブラジルでは300%)
などの状況を明らかにしました。
さまざまな広告タッチ ポイントにアトリビューション分析の結果を適用、何もかもを広告費用対効果 (ROAS)で評価できるこのADH分析は、施策評価・改善に向けたPDCA/checkの核となる検証方法として確立されました。
再現するためのポイント
ファーストパーティデータと広告配信ログデータのマッチングテーブルについて、わずか4週間で作れたスピード感がプロジェクト成功の一因だと思われます。
実際それ専業で時間を費やせないことを考えると驚異的です。
ADHのルール、BQのルールを守ることはもちろんですが、自社のファーストパーティーデータ(既存データセット群)をBQにアップする、のではなく、Floodlightをうまく使いながらFloodlight側にデータを集め/返す+新たにBQで検証専用のテーブルを作成することで手間と管理工数を削減した、のだと思われます。