Yahoo!DMP時代の遺産を深化、Yahoo!DCRによる予測ファネル把握とは

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kaidan
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個人情報活用時代の全盛期、Yahoo!ではYahoo!DMPと呼ばれるIDソリューションを各代理店・広告主に開放していました。
個人情報保護時代に入ることで、Yahoo!DMPはそのままの形での提供が難しくなり、やむなく、サービス提供は終了しました。

終了したものの、Yahoo!DMP時代に各代理店・広告主が開発した分析手法やソリューションは、その”発想”を遺産として、Yahoo!のデータクリーンルームへ受け継がれています。

この記事では、Yahoo!が進化させたファネル把握ソリューションについて解説します。

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ファネルを予測し把握する、とは

ファネルの定義

マーケターならだれしも思うことですが、今、自社にたいしてvery Hotな人たちはいったい何人いるのだろうか、その人たちは先週から増えているのだろうか、またどんな特性を持っているのだろうか、願わくば濃い人たちからアプローチしたいがそれはどうすればよいだろうか・・
施策の影響評価から打ち手への活用までを市場構造に沿って把握することができれば、施策と戦略の連動性を強固なものとして、より一層ビジネス成長にコミットする施策実現が可能となります。

たとえば日本国民全員をファネルに従って分類する、そんなことが将来的にできるのはおそらく住民票番号かマイナンバーかLINEだけ(日本国民全員が使っているサービスが必要)かなと。
Yahoo!においては、Yahoo!ID保有者のみで定義します。

定義するファネルについてですが、認知(非認知)~購入意向、さらにはその先のロイヤル化まで様々な設定が可能です。
が、基本的に既存顧客は手元で管理できますし、既存顧客を管理する部署と新規顧客を管理する部署が分かれていることも多く、目的・目標が分けてたてられることもおおいため、見込み顧客に絞ってみていくことが一般的です。

どういったユーザーが興味関心を持っているのか、検討候補に入れてくれているのか、といった定義ですが、Yahoo!であれば自由な設定が可能です。

例えば、

・競合KW&自社KW検索者:検討段階(score0.6)
・自社来店者:購入段階(scor0.9)
・カテゴリKW検索者=Hot(score0.4)

といった、ある種予測しやすい行動の定義はもちろんできるものの、それ以外にも、

・過去CVしたユーザーと似た特性をもち、かつ過去CVしたユーザーがCV7日前にとった行動をとっている(score0.8)
・過去カートまで来て結局競合商品を買った=他社流出したユーザーと似た特性をもつ(score0.2)
・純粋想起があるユーザーと同じ特性をもつ(score0.3)

など、Yahoo!側の機械学習によるスコアリング、それに基づくファネル定義も可能です。

予測の必要性

Yahoo!ではファネルについて、CVなどKPIへの期待値を0.1-0.9で定義する決まりになっているようです。
ですので、
0.3とはこういう状態、0.7とはこういう状態、そんな定義と、
0.3にはAさんとBさん、0.7にはCさんとDさん、そんな分類が
ひつようです。

状態について、明らかにYahoo!側で全数データを持つ”特定KW検索”、”特定ページ来訪”だけで指定できれば、スコア分類自体に予測は不要です。
が、実際はそれだと想定外の動きをするユーザーを見逃す可能性が高いためもったいなく、Yahoo!による機械学習を使うことになります。機械学習ですので当然SEEDデータからの拡張であり、予測が必要です。

また、スコアは時系列で変化するため、今0.4のユーザーが、来週0.5になるのか0.4のままなのか0.3になるのか、をあらかじめ知っておくことは極めて重要です。
このスコアの変動についても、予測がつかわれます。

使い道

なんといっても、市場構造全体の把握です。

スコアごとのボリューム把握は時系列でも算出可能なため、月単位でのモニタリングによる戦略へのフィードバックに活用できます。

また、スコアごとにCV期待値=予測獲得単価も算出可能なため、どのスコアにどれだけ投資すべきか、が明確になります。
これは、そのスコアを直接CVさせるためのコスト、という意味でも、そのスコアの人々のスコアを引き上げるためのコスト、という意味でも、両方試算が可能です。

Yahoo!による紹介動画

私が見た時は、再生委数は566でした。
素晴らしいソリューション、少なくとも数千社レベルで使われてもおかしくないサービスだとおもうのですが、おそらく、紹介の仕方・サムネイルがいけてないかなと。

この予測ファネルソリューションは、見込み顧客を増やしたい人のためにも勿論使えるのですが、効果のほどはさておき、正直、世の中に見込み顧客を増やすための手段はあふれています。
そこにフォーカスをあてるとレッドオーシャンな環境なうえに施策実行者=現場しか反応してくれない可能性が極めて高い、もったいない感が出てしまいます。

そうではなく、この予測ファネルソリューションは”マーケティング戦略から各種エグゼキューションを一気通貫でつなぐ市場・見込み顧客深掘り基盤”として理解/訴求したほうが良いのではないかと。
あるいはいっそのことダッシュボードとして販売するのもアリかもしれません。市場状況・市場推移・ユーザー属性・スコア変動要素、さらにはそこに競合KW検索動向や自社KW SOVなどデータを充実させることで、【Yahoo!の提供するマーケティング基盤】まで昇華できる可能性を秘めています。

ものはいいだけに、残念なことです。

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